保険か自費か

  1. 保険診療とは?
  2. 自費診療とは?
  3. どっちにするか
  4. 考察


保険か自費か」の問題はデリケートな問題であると思うので「私見」である事を予めお断りしておきます

1.保険診療とは?

 

1961年に「国民皆保険制度」が施行され、貧富の差がなく医療が受けられる様になりました。これは診療に対する医師への報酬額が決められており、患者さんはそれぞれ加入している保険(国民保険、社会保険等々)から何割かの負担額を支払うというものです。

この為、保険診療を受ける限り、どこの歯医者さんに行っても同じ金額で同じ診療を受けられるという「安心」があります。また「同じ金額なら良い歯医者さんに行こう」と患者さんが考え歯医者さん同士の良いライバル意識が生まれてきたのも事実でしょう。

これにより患者さんは従来よりはるかに気軽に医療を受けられる様になりました。

しかし保険診療には「保険が利く範囲」があります。被せる金属、治療内容等が決まっており、より良い材料、より良い診療、より良い美しさを求める場合は保険の範疇を超えてしまいます。

また、当然「病気」でなければ保険は効きません。ほとんどの矯正に保険が効かないのはお上が「歯並びが悪いのは病気じゃない」と思っているからです(トホホ)。「前歯をもっと美しく」なんてのも「病気」じゃありませんから「前歯が気になって寝れなくて食事もできず、このままじゃ痩せて死んでしまう」のでなければ保険は効かないでしょう。

 

2.自費診療とは

 

「保険が効かない」ものが自費診療です。

よく「前歯の良いものは、いくら位が相場なんですか?」なんてメールを頂きますが(おそらくメタボンだと思います)、「8〜12万位かなぁ」とお返事しますが、これより安かろうが高かろうがアナタが満足すれば100万だって良いと思います。多くの歯科医院は自費診療の値段を決めていますが自費診療は「言い値」なのです。

患者さんが満足できるのであれば歯科医師が納得できる十分の診療を「自費」で行う事は私からみて何も問題はありません。

矯正だろうが、前歯の良い物だろうが、インプラントだろうが患者が治療と値段に満足するのであれば何も問題はありません。長く使えて美しく違和感なく機能する物ならば、それは十分「その値段分の価値」はあると考えるからです。

 

3.どっちにするか

 

実際、前歯を保険で白い被せ物をすれば2割負担で1万円でお釣がきます。良い物なら10倍位はするのです。それは自費なら10割負担なので値段の差が大きくでるのです。そのかわり虫歯になりにくい、色が変わらない、丈夫である等の違いがあるのです。

矯正にしても「男の子なんだから多少歯並びが悪くても...」なんて思うなら矯正なんてしなくても良いでしょう。「八重歯がカワイイ」なんて意識は今でもありますし。「左金歯は親でも惚れる」なんてのは最近少なくなりましたけど。

結局、値段を聞いて「高いな」と思うならしない方が良いです。イヤイヤやって良い結果はあんまりないでしょう。それは患者さんの意識の低さからくるのか歯医者の説明不足や信頼関係が不十分なのかは色々ですが「高い」と感じるならやめなさい。「他の歯医者ならもっと安くできるのでは?」なんてのは、その歯医者さんをバカにしています。「良いもの」がどれだけ「良い」のか見分ける目があるのならまだしも値段だけで判断するなら保険にした方が良いでしょう。

 

4.考察

 

この問題のややこしい部分は「歯科医師の多くが保険診療の額に満足していない」所です。もちろん歯医者さんにしてみれば貰える報酬が多いにこした事はありません。保険診療の額に不満なため保険が効くものなのに「ウチは保険じゃやりません」とか「ウチでは保険の物はオススメしていません」なんて歯医者さんが少なからずいて、無理に自費を勧められた患者さんから「どうなんでしょう?」なんてメールを私が貰うわけです。

以前、掲示板にて「アナタが考える、抜歯の際の適当な報酬額はいくらですか?」との質問をしたところ6人の方からお返事を頂き、有効回答の平均は「12700円」でした。あなたはこれを高いと感じますか?安いと感じますか?

実際は大人の前歯で一本1500円、奥歯で2600円です。この中に麻酔代、消毒代、抜いた部分に入れる薬代、縫う代金のすべてが含まれ、スタッフの賃金を引いて、歯科医師に幾ら残るのでしょう。これは、ほんの一例ですが私自身、保険診療の額は安いと思います。別にもっとお金持ちにさせろと言っているのではありません。もっと患者さんと余裕をもって診療に当たりたいのです。一人の歯科医師が同時に2〜3人も患者を診るのではなく....

とはいえ、資本主義の国ですから上手かろうが下手かろうが報酬は一緒、数をこなせばお金が入るシステムにも問題がありますが。(といって「何年やってる医師には報酬額を上げる」なんてゆう馬鹿の極みみたいなアイデアには賛同しませんケド)

グチはこれくらいにして、結局「自費」のものなんですが『良い物は良い』のです。色、材質等、保険の物より良いのですが悩むのは「値段に見合った物なのかどうか」でしょう。納得のいくまで歯医者さんから十分な説明を受けてください「どんなふうに良いのか」「長くもつのか」そして、まかせられる歯医者さんかどうかあなたの目で判断してください。

私が言えるのは『良い物は良い』『高いと思うならしない』って事です。