妊娠してます

  1. 妊娠すると歯がダメになる?
  2. 妊娠中のレントゲン
  3. 妊娠中の抜歯、投薬
  4. 考察


妊娠すると歯がダメになる?

 

「妊娠してから歯が悪くなって....」「妊娠してるんですけど歯肉が腫れてきて....」

なんて患者さんは結構いらっしゃいます。メールでも、妊娠中に虫歯が痛くなってきた、歯茎が腫れたという質問を数多くいただきます。

「一人生む事に一本づつ歯が抜ける」という話もあるみたいです。多くの人が妊娠したんだから歯が悪くなるのはしょ〜がないという感じで言われるのですが、それは事実ではないですね。

実際、妊娠中はホルモンのバランスが変わって歯肉炎になりやすいというのはありますが、むしろ

  • つわりなどで歯ブラシが困難になり清掃不良になりやすい
  • 歯肉出血により歯ブラシを恐れる
  • つわりなどとも関わって食事、間食(甘味食品)の増加
  • 口腔内が酸性になりやすい
  • 偏食
  • 情緒的に不安定になり歯ブラシがおろそかになりがち

の方が原因となります。

結局、食事と歯ブラシがおろそかになるって事が問題なんですね。

結構、歯肉が腫れたっていって来るかた(統計じゃ30%くらい)がいらっしゃいますが、モトモトあった歯周病が悪化しただけですから、妊娠したからという訳じゃないんですね。色々、大変だとは思いますがガンバッテ磨きましょう。

歯石を取る治療でしたら麻酔もいりませんから、歯医者さんに行って早めに綺麗にしてもらいましょう。

歯周病は未熟児の確立が増えますし、早産になる事も多いですから、赤ちゃんのためにも...ね。

 

妊娠中のレントゲン

 

妊婦さんに「レントゲン撮りましょう」って言うと大概は「大丈夫なんですか?」と言ったり、不安な顔をされますね。

それは当然でしょう。たま〜に被爆に関する事件がおきますし、癌や奇形の原因にもなると言われているのですから。

わたしも妊婦ではなるべく撮らない様にしています。でも、撮る事によって非常に大切な情報が得られるという時には撮ります。

レントゲン一枚につき、被爆する量は、大体、普通に生活していて自然界から浴びる放射線の量と同じくらいだと言われてます。だから3枚のレントゲンを撮ったとしても極端な言い方をすれば出産が3日伸びる様なものです。しかも鉛のエプロンをしていますからお腹に被爆する量はほぼゼロと言って差し支えありません。生殖器に影響を及ぼすには一度に2000枚以上とらないとダメだという話もあります。

それでも、安全を考えて、妊娠3〜4ヶ月で永久歯がつくられはじめますから、なるべく安定期に入るまではレントゲンを撮らない様にはしています。

昔、放射線技師である妊婦の患者さんが来ましたが、「レントゲン撮っていいですか?」って聞いたら笑顔で「いいですよ」って言われましたから。

 

妊娠中の抜歯、投薬

 

「妊娠中に親知らずが痛くなって...」って結構あるんですね。虫歯の場合もあるし、腫れる場合もありますが...

やっぱり、お腹の赤ちゃんに与える影響が心配なんです、皆さん。

抜歯をするのには麻酔して薬を飲む訳ですから色々と心配なんですね。麻酔は大丈夫か、薬は大丈夫か、って。

薬に関しては歯医者さんは「成人女性は、すべて妊娠している」という仮定のもとに処方していますから、まず問題ありません。麻酔も局部麻酔といって部分的にしか麻酔されません、まぁ麻酔薬の分解は身体でされますが、おしっこから排せつされます。

それでも、やっぱり歯医者さんも妊娠中は抜きたく無い。元気な子供が生まれれば問題ないですが、何かの問題があった時に恨まれるのはイヤですからね。だから生まれるまでに痛くなりそうもないかな〜ってのは抜きません。

しかし、抜かねばならない時もある訳です。ズキズキしていて、このままじゃ妊婦さんの精神衛生上よくないって場合もありますから、その時は抜く訳です。

産婦人科医と連絡を取って、でも安定期に入って無いとしません、また臨月に近い頃はしません。臨月近くだと産気づく場合もあるようです。ですから妊娠4〜8ヶ月位の頃が抜き頃になります。

 

考察

 

なんにしても妊娠中に麻酔やら投薬やら抜歯やらレントゲンやら、やらないに越した事はありません。

できちゃった...っていうのなら、しようがないですが、次ぎのお子さんは歯科治療が終わってから作ってください。本当に本当にお願いします。

虫歯が沢山あるのを承知のうえで妊娠する患者さんは、私が本当に怒りを覚えます。認識不足があるんですよ、元気な赤ちゃんを生みたいって本気で思っているとは思えないんですね。たまにメールで逆切れされたりして、「ウチではちゃんと子供を愛情をもって育ててます」とか言われるんですが愛情があるなら虫歯治してから作れっちゅ〜の!

え〜と、え〜、気を取り直してですね。妊娠っていうのは自分だけの問題ではなく、新しい生命の関わる事ですから自分の好き嫌いだけでは済ませれない部分があるわけです。ですからお母さんになる方は、せめてその「覚悟」だけはもってもらいたい。だから歯医者が死ぬ程嫌いと思っていても将来の赤ちゃんのため歯医者さんに行ってください。お願いします。